習い事を始めた時に、習っている先生のことをなんと呼べばいいか迷いますよね。
「先生」「師匠」もしくは「〇〇さん」など…。
こと茶道においては流派やマナーがあり、余計に迷うところだと思います。
この記事では茶道の先生の呼び方について解説します。
基本的には「先生」でOK!
自分が習っている先生について、他の習い事と同様に「先生」という呼び方で問題ありません。
教室によっては「〇〇さん」と呼ぶような教室もあるかもしれませんね。
そこは通っている教室に合わせると良いかと思います。
第三者に自分の先生について話すときも、「茶道の先生」と伝えれば問題ないでしょう。
「先生」と「師匠」の違いは?
教える者と教わる者なので、「師弟関係」にもなります。
なので「師匠」という呼び方でももちろん問題ありません。
では「先生」と「師匠」という言葉はどう違うのでしょうか?
「師匠」は「自分の経験により得た知識や芸能などを、慕ってくる弟子に伝授する人」です。
意味解説辞典
「先生」は「知識や学問、情報などを元に、組織として生徒を集めて教える人」です。
教える内容は経験や知識と同じ内容ですが、「誰に教えるか」というのが大きく違う点と言えます。
茶道を習っていると、他の教室に通っている方を「生徒さん」ではなく「お弟子さん」と表現することもよくあります。
なので、呼び方は「先生」で問題ありませんが、
関係性としては「先生と生徒」というよりは「師弟関係」が近いと思います。
面接などのフォーマルな場面では「師匠」と表現しても、かっちりした印象でいいかもしれません。
お家元であれば「家元」、「宗匠」
お家元とは…
日本の芸道などを家伝として承継している家系のこと。またその家系の当主個人を指しても用いられる。
ウィキペディア
裏千家茶道でいえば裏千家を建てた、千利休の孫の仙叟宗室の家系のこととなります。
現在の家元は16代「坐忘斎」です。
↓茶道の歴史や系譜についてはこちら
「宗匠」とは…
文芸・技芸にすぐれ、師である人。
精選版 日本国語大辞典
特に、和歌、連歌、俳諧、茶道、香道、華道などの師匠をいう。
自分が教わっている先生ではなく、家元のことを「宗匠」と呼びます。
ちなみに裏千家茶道では
現在のお家元は 宗匠
前家元は 大宗匠
次期家元は 若宗匠
と呼びます。
お家元のお弟子さんであれば「業梯先生」「業梯さん」
お家元のもとで厳しい修行を積むことで「業を体得」し、お家元に代わって茶道の指導をする方を「業梯先生」と呼びます。
裏千家の行事で講演会やお茶会などを行ったり、研究会で指導をしたりしています。
正会員以上の資格を取得すれば研究会に参加することができますので、その際にお会いすることもあるかと思います。
↓業梯先生について詳しくはこちら
↓私が初めて研究会に出た時の体験談はこちら
ビジネスマナー的にも「先生」でOK
ビジネスの場面では、「先生」を自分方の身内としてへりくだって呼ぶ場合と、相手方の敬って呼ぶ場合があると思います。
その際の使い分けは以下のようになります。
おまけ~茶道の先生にはどうしたらなれる?~
実は、茶道を教えるのに免許は必要ありません。
教えたければ誰でも教えることができます。
しかし、教えている生徒の“許状”を申請するためには、申請者も一定以上の“許状”を持っている必要があります。
裏千家の資格・許状制度
茶道の流派のひとつ、裏千家では段階を追って稽古が進んでいきます。
師匠である先生が、教わっている生徒が次の段階のお点前を学ぶにふさわしいと判断したとき、先生からお家元へ“許状”を申請します。
そして、お家元から“学びの許可”がおりないと上位のお点前には進むことができません。
この時の“学びの許可”というのが「許状」です。
また、別に資格制度もあるのですが、これは一定の資格を取っていないとまず許状を申請することができないというものになります。
例えば、上級の資格を取得していないと行之行台子の許状を申請できないというような感じです。
許状の種類は全部で16、資格は6つに分かれています。
そして、上級の「引次」という許状の取得から、他人の許状を申請することができるようになります。
ただ、大体の方は「引次」ではなくさらに上の「茶名」という許状をいただいてから教える方が多いです。
茶道の世界とは奥が深く、私も「講師」の資格を持っており、茶道も10年続けていますが、まだまだひよっこで、知らないことも多すぎて、人に教えるなんてとんでもない!と言うのが正直な感想ですが…。
裏千家では「裏千家学園茶道専門学校」という学校もあり、茶道科では3年で「茶名」の取得を目指す学科もあるようです。
普通にお稽古していますと、茶名までは7~8年かかりますので、それに比べると早く資格を取ることができますね。
絶対に必要なのは資格ではなく道具?
先ほど、茶道を教えるのに資格は絶対に必要ではないと書きましたが、絶対に必要なものもあります。
それはお道具です。
茶道では季節によって使う道具が異なり、中には1年に1回しか使わない道具もあります。
必ず全ての道具を揃えなければいけないわけではありませんが、道具を持っていないということは、通っている生徒さんは、その道具を使ったお点前の練習はできないということになります。
つまり最低限の道具は必要になります。
お道具はやはり高価なものが多いです。
種類も多く必要になるので、自分で教室を開いて教えるには経済力は必須ということですね…。
まとめ
茶道の先生、なんて呼び方をしたらいい?のまとめです。
- 基本的には「先生」でOK
- 「先生」と「師匠」の大きな違いは「誰に教えるか」
- お家元なら「家元」、「宗匠」
- お家元のお弟子さんなら「業梯先生」、「業梯さん」
- ビジネスマナーでは相手方の呼び方であれば「先生、お師匠様、ご尊師様」
自分方であれば「先生、師匠、恩師、尊師」 - 茶道の先生になるには資格や免許は必要ない
ただし、裏千家の資格制度の「茶名」をいただいてから教える人が多い - 茶道の先生をするのであれば、最低限の道具を揃えることは必須!
いかがだったでしょうか?
参考になれば幸いです。
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